何かを始める時、目的や目標はとても大事だと思います。
ゴールを決める事で、短期の目標ができ、日々のスケジュールやタスクが見えてきます。
私自身、小学校でやってたサッカー、中学でのバスケット、学生時代の勉強などなど。
今までの人生の中で目標を決めることが出来たもの、目的を持って取り組めたもの、そうでなかったもの、様々です。
僕が人生の中で、1番最初に自分で明確にゴールを決めた事は、
高校生の頃に決めた、"ドラマーになる!!" という夢だったと思います。
そう決めた時から、自分なりに練習メニューを決めたり、目標を決めて、それを少しずつ達成していって、今の自分があると思います。
高校は進学校に通っていたのですが、周りのクラスメイトが誰も選択をしなかった、音楽の専門学校を選んで進学しました。
専門学校では決して上手い方では無くて、上手い同級生に心を折られながらも、少しずつ課題をこなしました。
卒業する前に、たまたま先輩のバンドに声をかけてもらって、そのバンドでデビューしたのが僕のプロドラマーとしてのスタートでした。
ツアーをまわったり、ラジオ番組を持ったり、各種イベントに出たり、そのバンドで様々な経験をさせて頂きましたが、長くは続かずにデビューから1~2年ぐらいで解散となったと思います。
この辺の話は長くなってしまうので、また後日にするとして、、、
今回ブログにて議題としたい事は、タイトルの通り"音楽教室のゴールとは??"です。
もちろん各教室によって違っていいですし、レッスンにいらっしゃる生徒さんのゴールも様々だと思います。
ただ私自身が子どもの頃そうだったように、小学校でやっていたサッカー、学生時代の勉強などは、
最初っからゴールを持って取り組めたわけでは無いです。
楽器を始めたきっかけでよく、"モテたいから"と言われますが、
そんぐらいの軽い気持ちで始めたって、全然良いんだ!と思ってます。
むしろ、最初っから明確なゴールを持って何かを始める人なんて、少数派なはずです。
友達がやってるから、テレビで見てカッコ良かったから、モテそうだから、楽しそうだから、
始めるきっかけは、そんなもんで十分だと思います。
だとしたら、そこから目的や目標を持てるようになるには??というところでは、
"出会った人によって大きく左右される"
と個人的には思ってます。
出会った人、出会った教室、出会った先生によって、多分大きく変わるだろうなと。
今日はその辺を深掘りしていきたいと思います。
このブログを書くきっかけになった話を少し。
あまりこういう事を書くのは良くないと思うのですが、考えるきっかけになった事だし、何よりなんかしらの形で残したいなと思って、ブログを選びました。
実は私の生徒さんで、先日亡くなられてしまった方がいらっしゃいます。
Kさんとします。Kさんは2021年からRINGに来られてました。年齢は60代、ドラムは初めてでした。
元々ロックとかが好きで、ドラムを叩いてみたいという気持ちが昔からあったということで、体験レッスンに来られました。
Kさんはとても練習熱心で、レッスンを始めて3~4ヶ月後にあった発表会にも積極的に参加して頂き、ドラムにとってもハマっている様子でした。
Kさんは旅が好きな方で、よくキャンピングカーで旅をされてました。
旅先で地元の人と触れ合ったり、地元の食材を頂いたり、その土地や風景を楽しんでいたそうです。
そんなKさんが旅先で、ジャズバーにふらっと入られたそうです。
ドラムを習っているという話をしたら、じゃあ一緒にセッションしよう!となったそうです。
ただKさんはまだドラムを始めて間もないですし、何よりジャズドラムを練習したことがありません。
その時何にも出来なかったのが悔しかったんだよねーと話してくれました。
それでジャズドラムのレッスンを始めることになります。
世代的にもジャズをリアルタイムで聞いていらっしゃった世代でしょうから、ジャズ自体にそんなに抵抗感はなかったと思います。
何より旅好きのKさんからしたら、旅先の出会った人と、音楽で分かり合えたり、セッションして楽しんだりするというのは、ライフスタイル的にも相性が良かったとも思います。
僕自身ジャズドラマーですし、Kさんにジャズの楽しさや、セッションの楽しさが伝わったら嬉しいなーと思いながらレッスンをしてました。
そんな矢先、悲しいお知らせを聞くことになります。
Kさんにガンが見つかってしまったのです。ステージ4だということでした。。。
正直耳を疑いました。先週一緒に飲みにも行ったし、レッスンだっていつも通りに行っていたのに。
本人も自覚はなかったみたいで、精神的にもとっても辛かったと思います。
そこからKさんの闘病生活が始まります。
そして闘病しながらも、ドラムレッスンは続けたいと言って頂き、今まで通りレッスンを行なってました。
その後入退院がありながらも、つい先日ですが闘病から約1年後ぐらいに亡くなられました。
亡くなられる10日前にもレッスンを行なってて、抗がん剤治療の間でもドラムを叩きたいと連絡を頂きました。
闘病をしながらもドラムを叩くという選択をされた事、とても素晴らしいと思いながらも、それをサポートさせて頂く責任感を強く感じました。
Kさんの為に何が出来ただろうか?ドラムを学ぶということは何なんだろうか?音楽教室が出来ることは?音楽の在り方とは?ゴールは?
正解のあることでは無いとは思いますが、今回そういう事を色々考えたので、ブログにまとめたいと思いました。
Kさんのことがあるずっと前にも、音楽教室のゴールってなんだろう??と気になって考えたことがありました。
・ドラムのテクニックを上達させる事?
・好きな曲を叩けるようにさせること?
・プロミュージシャンを育てること?
・音楽を好きになってもらう事?
当時他の教室とかはどうなんだろう?と思ってネットで調べてみると、ちょっと気になる記事を見つけました。
"音楽教室の役割は、生徒に音楽を上手く辞めさせられるかだ"
という記事を読みました。
とても悲しいなと思いながらも、確かにそうかもしれないと思う部分もあります。
最近私の息子がサッカー教室に通い始めました。
まだ幼稚園ですし、音楽教室のそれとは違うかもしれませんが、通ずるところもあると思います。
恐らくこのサッカー教室からプロサッカー選手になる子は、ほぼ居ないでしょう。
(悪気はありませんし、プロが出たらすみませんm(_ _)m)
どのタイミングになるかはわかりませんが、いずれサッカーを辞める子が99%と言っても良いのかもしれません。
ということは、そのいつか辞める時が来るのであれば、その日をサッカーが嫌いになって辞めるのではなく、良い形で辞めさせてあげたり、諦めが付けれたり、けじめをつけてあげられるというのは、あながち悪いことでは無いと思いました。
とはいえ、教室側がそういう事を言うのは良く無いとは思いますが、じゃあ教室はビジネスってだけで、ただテックニックを教えるだけと言うのも違うよなと思ってます。
理想と現実、ビジョンと目的、ビジネスと社会貢献、この辺の兼ね合いが難しいなと思いながらも、RINGを立ち上げる際、この辺のことについてすごく考えました。
RINGを立ち上げた2017年に、企業理念と言いますか、大事にしたい事を最初に決めました。
"アンサンブルの楽しさを伝える"
"現役でステージに立っている先生によるレッスン"
"音楽で地域貢献と活性化"
この3つを決めました。
RINGはスタートして、もうすぐ丸8年が経ちます。
その間にいろいろな事がありました。
コロナもあったし、講師の先生も変わったし、レッスン以外の業務もたくさん増えました。
この8年間で変わらないこともあるし、大きく変わったこともあります。
生徒ももちろん入れ替わりが沢山あって、2017年のスタート当時から現在もレッスンに通っている方は、ごくごく僅かですし、小学生だった子は高校生ぐらいになってます。
最初は少なかった生徒数も、今では70名を超える生徒が通ってくれてます。
僕も30代でしたが、40代になって、結婚もして子供も生まれました。
当時作った3つの理念は今でも大事にしてることですが、今回のKさんのこともあり、RINGの業務も変わってきている中で、改めてRINGがやりたい事、やるべき事、を再確認しようと思います。
RINGが音楽教室を通して行いたい事、上記した3つのことを再確認していきたいと思います。
・アンサンブルの楽しさを伝える
これが一番だと思ってます。
発表会の時などにいつもお話ししたりしてるのですが、私自身がドラムという楽器柄、1人で音楽が出来ない楽器なので、アンサンブルがとても大事だし、何より楽しいです。
中学生の時に同級生で初めてバンドを組んで、文化祭で演奏して。それから今までいろんなバンドを組んだし、いろんな人と演奏してますが、結局いまだに中学生の頃バンドで音を合わせたあの感覚や楽しさが、今でもずっと続いている感じではあるんですよね。
生徒の皆さんにそれを押し付けるつもりはありませんが、少なくとも私が大好きで今でもハマってて続けている音楽を共有したいという気持ちが一番だと思ってます。
そしてアンサンブルを通して、素晴らしい出会いもあると思います。
誰かと一緒に1つのものを作り上げる楽しさ、音楽を通しての出会い、そういったものが人生を豊かにしてくれると思います。
・現役でステージに立っている先生によるレッスン
これに関しては賛否両論あるとは思いますが、実際に現場に立っているからこそ分かることや経験値があると思ってます。
またその経験こそが、生徒さんの悩みを直接解決するきっかけにもなると思ってます。
テクニックから答えが出るのではなく、音楽の捉え方や、経験値、人間関係などからアドバイスできる事の方が解決に導いてくれる事が多いと思ってます。
だからこそ現役でステージに立っている事に拘った教室運営をしてます。
今回のKさんのことで、このことは改めて考えさせられました。
Kさんはジャズドラムを習いに来られてました。もちろん僕は様々なテクニック、ルーディメンツ、アンサンブルについてレッスンしました。
Kさんは私のライブやセッションにも来てくれてましたが、終盤は私の出演しないライブにもよく行かれてました。
私が開催しているものではない、ジャズ初心者向けの勉強会セッションにも、よく行かれてました。
そこでジャズ仲間もたくさん出来てました。
RINGの生徒さん同士でのドラム仲間もたくさんいらっしゃいました。
アンサンブルをする為には、やっぱり音楽仲間が必要なわけで。
私自身がドラムを続けているのも、やっぱり音楽仲間が今もいるからです。
教室の発表会や講師のライブなどに足を運んでくださる生徒さんは、よくいらっしゃいますが、Kさんは私のライブではなく、ジャズの勉強会に行ってました。
それで良いんです!いや、それが良いんです!!
もちろん私のライブにも来て欲しいとは思いますが、でもそこで仲間が出来て自分のコミュニティーや音楽仲間が出来たりしてくれる事が一番嬉しいです。
今回音楽教室のあり方や、ゴールについて、改めて考えましたが、
音楽の楽しさや、アンサンブルの楽しさを伝えるのと同時に、音楽仲間を見つけるお手伝いが出来るのが1番の役割なのかも知れない、と感じました。
・音楽で地域貢献と活性化
海外では、日本人が飲みに行く感覚で、ライブハウスに行くという噂を聞いた事があります。
街に音楽が溢れていて、ライブに触れ合う機会が当たり前にあるのでしょう!
噂ですから、本当かはわかりませんが^^;
でも私が住んでいる太宰府市が、福岡県が、そんな街になったら素敵だし、そんな街になれるように貢献したいと思いました!
RINGでは地域のお祭りや行事にも積極的に参加するようにしてます。
音楽を通して、街がハッピーになれたり、住んでいる人たちが音楽で幸せな気持ちになれたら、どんなに素晴らしいでしょうか!
RINGは近年では音楽事務所として運営も行なっており、演奏依頼を受ける事も多くなって来ました。
その中でスローガンとして掲げている事があります。
"生演奏の素晴らしさを多くの人に伝えたい"
というのを目標としてます。
今はインターネットで簡単に音楽が聴ける時代です。
PCで簡単に音楽が作れる時代です。
だからこそ、人が演奏する生演奏、ライブの素晴らしさを感じて頂きたいと思って活動をしてます。
教室に習いに来る生徒たちも、生演奏を聞いた事がないという方の方が多いです。
youtubeで見てや、ネットで聞いて、という方が殆どです。
ネットはネットの良さがあると思います。
気軽に誰でもいつでも音楽にアクセス出来ます。
でも音楽はやっぱりアンサンブルだと思ってます。
人と人が音を合わせてやるからこそ、唯一無二であり一期一会であるのだと思います。
そんな音楽の楽しさや、素晴らしさをミュージシャンだけでなく、街の人たちと一緒に共有出来たらどんなに素晴らしいでしょうか。
そんな理想にRINGは尽力したいと思ってます。
・まとめ
音楽教室のゴールとは??という議題でブログを書き出しましたが、
実際にRINGであったこと、RINGの現状なども合わせてまとめてみました。
コロナになった時にも、音楽で出来ること、教室で出来ること、いちミュージシャンとして出来ること、
色々考えさせられました。
Kさんの葬儀の際に、奥様に"最近はとても楽しそうに毎日ドラム叩いてました"って教えて頂きました。
音楽やドラムで人生が豊かになったり、素晴らしい仲間と出会えたのであれば、とても嬉しいなと思います。
音楽教室として、生徒さんひとりひとりの人生が豊かになったり、素晴らしい出会いとなる手助けが出来るような教室でありたいなと感じました。
RINGという名前を付けた由来でもありますが、RINGを通じて、音楽の輪、人の輪が広がっていけるような音楽教室、音楽事務所にしたいと思ってます。
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